「自己株式の取得」とそのメリットについて | Cloud Payment 公式ブログ

「自己株式の取得」とそのメリットについて

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「自己株式の取得」とそのメリットについて

「自己株式の取得」とそのメリットについて

以前は自己株式の取得には制限がありましたが、会社法が施行され一定の場合に保有が可能となりました。

では、いくらまで自己株式が取得できるのかと言うと、剰余金の分配可能額とされています。これは会社法第446条および第461条第2項に規定されていて、簡略すると次の通りとなります。

(資産の額+自己株式の帳簿価額)―(負債の額+資本金及び準備金の額の合計額+その他)― 最終事業年度の末日後に剰余金の配当をした場合のその額 ― その他一定の調整

自己株式を取得した場合の会計処理は次のようになります。

自己株式/現預金 取得価額
自己株式/預り金 取得価額と取得自己株式に相当する資本金等の額の差額に源泉所得税等の税率を掛けた金額
これは上記差額がある場合、その差額をみなし配当として認識するので源泉所得税等を計上する必要があるためです。

税務上の処理は次の通りとなります。
別表(法人税の税務申告書)5の1において
資本金等の額の期中増欄に
自己株式 △取得価額
利益積立金額(自己株式) みなし配当として認識した金額

別表4において
減算留保
自己株式(みなし配当) みなし配当として認識した金額
加算社外流出
自己株式みなし配当 減算留保と同額

これで、みなし配当として利益積立金からみなし配当が流出したことが明確に表現され、みなし配当相当額が別表5で△繰り越しされます。
また自己株式の取得や処分は消費税法上、資産の譲渡等には該当しません(消費税法第2条第1項第8号、消費税法基本通達5-2-1、消費税法基本通達5-2-9参照)。

自己株式取得のメリット

「自己株式の取得」とそのメリットについて

・企業の組織再編において新株発行に変えて自己株式を交付することができる
・敵対的買収者に取得される事態が防げる
・事業承継の際分散している株式を会社が取得することによって後継者に株式を集中することができる
・相続税対策

中小企業のオーナーの場合、相続が発生すると自社株の評価額が高く相続税の納税に相続人が苦慮するケースが多くあります。通常、保有株式を会社に売却するとみなし配当が発生し所得税等が課税されます。
しかし、相続または遺贈により財産を取得して相続税を課税された人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、相続税の課税の対象となった非上場株式をその発行会社に譲渡した場合においては、その人が株式の譲渡の対価として発行会社から交付を受けた金銭の額が、その発行会社の資本金等の額のうちその譲渡株式に対応する部分の金額を超えるときであっても、その超える部分の金額は配当所得とはみなされず、発行会社から交付を受ける金銭の全額が株式の譲渡所得に係る収入金額とされます。
結果みなし配当課税は受けず譲渡益にのみ所得税が課されるので相続税の納税資金が確保しやすくなります。
(所得税租税特別措置法第9条の7および同附則第22条参照)

このように自己株式を取得するメリットはさまざまあるので、各社の事情に合わせて有効に活用しましょう。

この記事の著者紹介

鈴木 雅嗣(すずき まさつぐ)
税理士
enrolled&memoire合同会社 代表社員

取り巻く環境が複雑であることを背景に、画一的なサービスを提供せずクライアント1人1人とコミュニケーションを取った上での提案業務を主とする。
業務の基本として税理士業務はもちろんのこと、従業員教育、資産形成、経理のアウトソーシング等、業務範囲は問わず多岐に渡る。また税理士事務所にありがちな依頼がいつ終わるのか?と待たせることをせず、納期を設定の上、質を担保した上でのスピードも重視している。
契約可能地域は関東東京近郊を主とするが、一定の条件を満たすことで日本全国可能。顧問料は各自のニーズに合わせて納得いく金額を協議の上決める。通称税務で食わない税理士。

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